誤嚥性肺炎と口腔ケア

WHY

誤嚥性肺炎の重要性

point 01

誤嚥性肺炎とは

誤嚥性肺炎とは、嚥下機能の障害により、食べ物や唾液、胃液等とともに細菌が誤って気道に吸引されることで発症する肺炎のことです。高齢になると嚥下機能や咳反射が低下するため、口腔内の衛生状態が不十分だと、増殖した細菌が気道に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こしやすくなります。
令和5年の統計では、肺炎が死因第5位、誤嚥性肺炎が第6位と、両者で全体の約9%をしめています。特に、70歳以上の高齢者の肺炎の約7割が誤嚥性肺炎であるといわれています。

point 02

誤嚥性肺炎が介護事業所に与える影響

誤嚥性肺炎は、患者・利用者のQOLや予後を低下させるだけでなく、施設の経営にも大きな影響を及ぼします。高齢者の誤嚥性肺炎は長期的に繰り返し発症することが多く、その結果として入退院を頻繁に繰り返すケースも少なくありません。こうした入退院の繰り返しによって空床が発生した場合、それをすぐに他の入所者で埋めることは容易ではありません。また、
こうした収入機会の損失を加算や居住費等で補うにも限界があります。
 

point 03

口腔ケアと誤嚥性肺炎予防

高齢者は、口腔機能やADL(日常生活動作)の低下により、口腔内が不衛生になりやすく、細菌が繁殖しやすい状態にあります。こうした状況では、定期的な口腔ケアを実施することで誤嚥性肺炎の予防が期待できます。
ただし、口腔ケアの実施においては、「いつ・誰が・どのように・どこまで行うか」が曖昧であり、ケアの質にばらつきがあるのが現状です。したがって、まずは口腔内の状態に対する適切な評価、ケアの標準化、そして個別対応が求められます。

PROPOSAL

正しい口腔評価からはじめませんか?

口腔評価の重要性

口腔ケアの質を高めるには、評価項目に沿ったケアを実施することが重要です。それにより、ケアの標準化やスタッフへの適切な教育、適切な介入方法の選定が可能となり、現場やスタッフごとのケアのばらつきが是正されます。「何となくの判断」から「根拠のある判断」への転換により、ケア全体のレベルが底上げされ、誤嚥性肺炎の予防が期待できるのです。

口腔評価とは?

効果的な口腔ケアを行うには、口腔内の状態を一定の基準に基づいて評価することが不可欠です。介護報酬の「口腔連携強化加算」で示されている「口腔の健康状態の評価」には、口の開き具合、歯や舌の汚れ、歯肉の腫れや出血の有無、噛む力、むせの有無、うがいの可否、食物の残留の有無等の項目が挙げられています。こうした評価を通じて、口腔の状態を的確に見極めることで、適切なケアや必要な治療につなげるための第一歩となります。

口腔評価がもたらす期待・効果

正確な口腔評価を実施することで、適切なタイミングでの介入やケアプランの作成につながり、誤嚥性肺炎の予防や口腔疾患の早期発見・治療が可能になります。その結果として、口腔機能の維持・向上による患者・利用者のQOLの向上、さらには家族の安心や介護負担の軽減にもつながるといえるでしょう。さらに、誤嚥性肺炎を予防することは、施設運営における空床対策やコストの削減による経営改善にもつながることが期待されます。